夜空に咲く僕たちの願い
必死に耐えていた心は、酷く、脆く、粉々になった。
見ていたコーヒーから視線をずらし、先生へと向ける。
少しでも望みがあるのなら、「嘘」だと言って欲しかったから。
でも先生が俺を見つめる視線は、本気を表していた。
歪むことなく、真っ直ぐ俺を見ていた。
それを見た俺は酷く絶望を覚えた。
「でも渓斗くんは性別再判定手術は望んでいないの。自分が何者なのか、ずっと違和感があったのよ。そう思い始めたのが小学生の頃だと言っていたわ。あることがきっかけで」
頭の奥が痛い。
目をぎゅっと瞑り、再び開けるとそこには真っ白な床が広がっていた。
「…あることって…」
「それは私の口から言えないわ。こんなことを言っていいか分からないけれど…」
再び唾を飲む。
その味さえ、何もなかった。
「…渓斗くんは俊介くんの傍にずっといたいって言ってたの。支えたいって。自分は何者なのか分からないけど俊介くんだけは支えたいって。」