夜空に咲く僕たちの願い


壊れたと思った心が揺れた。
渓斗が俺を…?
そう考えたら涙が出そうになった。
制服を握り、自分のちっぽけさに無力を感じた。


渓斗…渓斗。
お前の中にあった心の闇は…お前にとって苦しかったか?


渓斗の顔が頭を過った。
今まで苦しむ俺に力を貸してくれたのはいつも渓斗だった。
瑠花のことで悩む俺に「味方」だと。
相談をする俺にいつも的確な答えをくれること。


いつも俺を支えてくれるのは渓斗だった。



頬を伝う一筋の涙。
俺は泣いていた。
耐えられなくなった心が涙に変わったのだ。





「…俺、渓斗のところに行きたい…」




「もし今渓斗くんのところに行ったら俊介くんはどうする?渓斗くんに何て言うつもりなの?」




そんなの決まっているよ。
渓斗が性同一性障害だとしても渓斗には違わない。
俺は渓斗に「ありがとう」って言うよ。


渓斗が俺にしてくれたように…




「俺は、渓斗を支える」





支えたい。
お前を心の闇から救いたい。





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