夜空に咲く僕たちの願い
息を整え、ブランコの方へ視線を向けるとそこにはやはり渓斗がいた。
渓斗がいつも座るブランコに座り、星空を見ていた。
暗くて分からなかったがきっと泣いているのだと思う。
時折、鼻をすする音が聞こえてきたから。
「……渓斗」
ゆっくりと渓斗の方に向かうと渓斗は星空を見上げたまま言葉を漏らした。
「驚いただろ?幻滅するだろ?ずっと黙ってるつもりだった。だってこんなこと言ったって俊介が困るだけだと思ったから」
俺は渓斗に近づき目の前に立つ。
やはり渓斗の瞳からは涙が流れていた。
溢れる涙を見た俺の涙腺が弱まった。
「…お前何言ってんの?俺に気を使ってんの?そんなの要らねぇよ。だって渓斗は渓斗だろ?性同一性障害?関係ないだろ。お前は何もおかしくねぇよ。」
「…俊介…」
上手く言葉は言えない。
だけどお前を見失ったりは絶対しないから。
苦しいときは苦しいって泣き叫んでよ。
そうしたら飛んでいくから。