夜空に咲く僕たちの願い



謝るのは俺の方だった。





「俺も渓斗の気持ちに気づいてあげられなくて悪い…」




「気にするなよ。俺さ、俊介と瑠花が付き合ってくれて嬉しかった。ずっと応援してたから。でも俺のこと邪魔なんじゃないかって…」




「ばーか。邪魔なんて思うかよ。お前がいなかったら、俺たち付き合ってなかったつの」




ゆっくりと足を動かしてブランコを漕ぐ。
俺の特等席の真ん中のブランコは、やはり居心地が良かった。



「クリスマス、お前たち何すんの?」




「あー瑠花には内緒だけど…N県のペンションに行くつもりかな。翔太が予約してくれて。もしいい場所だったら今度行こうな。天文台あるんだって」




俺がそう言うと渓斗は笑ってみせた。
もう涙は流れてはいなかった。久しぶりに見た渓斗の笑顔が綺麗だった。




渓斗の中の闇を少しでも取り除けたかな。
俺はずっと渓斗の傍にいる。
何が何でも…絶対に。




誰かが俺を支えてくれている。
だから俺も誰かを支えたい。


涙を流す人が目の前にいたら「大丈夫だよ」と声をかけてあげたい。




だけど渓斗が性同一性障害になったきっかけの…あの日。



その日、ある事件が起きていた。
それを渓斗は俺に黙っていたのだった。
そんな渓斗の優しさに気づいたのはクリスマスの日だった。




俺は誰も幸せにできない、そう思ったんだ。






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