夜空に咲く僕たちの願い
それは瑠花のお母さんの顔だった。
青白く、生きるのが嫌になったかのような表情を。
そしてあの言葉も。
「あのさ…渓斗、今日瑠花のお母さんに言われたことがあって…」
「………え?」
渓斗の声は今にでも消えて無くなりそうなくらい掠れた声だった。
「なんか、『子供はいいよね、何も考えなくていいから』って言われたんだ。それってどういう意味だと思う?俺さ、頭悪いから理解できなくて」
足癖の悪い俺は転がっていた石で遊んでいた。
石をボール見立てて、右足と左足を使いサッカーをする。
それは長くは続かないだろうけど地味に楽しかった。
俺の言葉に、渓斗はしばらく考え事をしていた。
何も話さないが俺は気にも止めずにいた。
「瑠花のお母さん、何か嫌なことでもあったんじゃない?ほら、瑠花のお母さんってお金持ちのお嬢様だったじゃん。今はマンションにしか暮らせないから窮屈なんじゃないの?」
そうだった。
昔瑠花から聞いたことがあった。
瑠花のお母さんは航空会社の社長令嬢だったと。