夜空に咲く僕たちの願い


今もよくテレビで名前を聞く。だけどあんな金持ちのお嬢様がなぜマンション暮らしをしているのだろう、と疑問に思ったこともあった。
俺は瑠花のことが好きだったし、離れたくもなかったから口に出したりしなかったけれど。
深い事情があったとしたら、それはどんな事情なのだろう。
聞けるものなら聞いてみたいものだ。




「そうかな?まぁあんまり深くは考えるのはやめとく。頭痛くなるし」




「そうだって。俊介の頭は限界があるからな」





「うるさいな」




怒った表情を見せると渓斗は白い歯を出して笑っていた。
くっきりとした瞳は奥の方で泣いてた。
周りが暗くて俺は見えなかった。



渓斗と肩を並べて歩いていると自分と同じ背丈だと気づく。
いつの間に伸びたんだ?と思った。
思春期の成長は思ったより早い。
体だけ成長すればいいのに、何故心も成長していくのだろう。

ふと思うのだ。





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