夜空に咲く僕たちの願い
エレベーターのボタンを押して扉の開く、そいつに乗り込んだ。
翔太の待つマンションの前まで行く。
そこには空を眺める翔太がいた。
そんな翔太を見た俺は笑ってしまう。
空が大好きなんだなって思った。
「よっ、翔太。遠いのにありがとうな」
「いや、遅くなったのは僕だから気にしないで。はい、これ」
そう言って長方形の茶封筒を渡す翔太。
俺はそれを素直に受け取った。
「マジでありがとうな!本当に感謝してる」
翔太の瞳を見て笑ってみせた俺はある異変に気がついた。
いつもニコニコ笑顔の翔太が笑っていなかったのだ。
胸がざわめく。
そしてふと空を見ると、そこにあったのは曇った汚い色の空だった。
「翔太?何か…あったか?」
「ん?あ…いや、何でも。楽しんできてよ。星見えるといいね。」
翔太は苦笑いをし、くるりと俺に背中を向けた。
そのまま帰すわけにはいかなかった。
この違和感を残したままは嫌だった。