夜空に咲く僕たちの願い


家に戻り部屋で旅行の準備をする。
スポーツバックの中に服と寝間着、それとお風呂グッズを詰め込んだ。
あぁ、あと翔太にもらったチケットも。
携帯を見ると瑠花からメールが届いていた。


《楽しみだね。どこに連れてってくれるの?いい加減教えなさいよ》



「教えるわけないじゃん」




だけど音を立てて運命は崩れ始める。
―…ピーンポーンとインターホンが鳴った。
今日は母さんは休みだと言っていたから母さんが出てくれると安心していた。
だけど母さんの足音は聞こえてこない。
そしてもう一度インターホンが鳴った。



「母さんいないわけ?」



渋々俺は立ち上がり、玄関に向かった。
扉を開けるとそこからひょこっと顔を覗かせたのは渓斗のお母さんだった。




「あっおばさんか。どうかしたの?」




「さっちゃんいる?実家から美味しい苺届いたの。さっちゃん苺好きだったよね」





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