夜空に咲く僕たちの願い
渓斗が指差す先にはブランコが三台あった。
もともと公園だったのかな?と思い周りを見渡したら、他に乗り物すらなかった。
遊び心なのかな。
それかここに座って星を見渡せ、と教えてくれているのかな。
どっちにしても俺は一瞬にしてこの場所が好きになった。
俺は真ん中のブランコに。
瑠花は俺の左、渓斗は俺の右にそれぞれ座った。
揺れるブランコ。
乗ったのはいつぶりだろう。
俺たちは無意識にブランコを漕いでいた。
春の風が気持ちがいい。
温かいけどどこか寒くて。
この空気が夜空の星をクリアに見せてくれていた。
「渓斗、どれが春の大三角?」
「北斗七星分かるか?その星をずっと真っ直ぐ辿るとオレンジ色の星がある。牛飼い座の星、アークトゥルス。見えたか?」
「あ、うん!あれだ!瑠花は見えた?」
星を見落とさないようにその星を真っ直ぐ見つめて瑠花に聞く。
すると隣で瑠花は「見えたよ」と言った。
ちらりと横目で瑠花を見ると、俺と同じ星を見つめている瑠花の姿があった。