夜空に咲く僕たちの願い



それを聞いたとき俺は翔太を責めることなど出来なかった。
今なら「ありがとう」と笑って言える。
翔太の優しさが伝わってきたから。




「…実は知ってたんだ。その…俊介くんと瑠花ちゃんのこと…」




一瞬何を言われたのか分からなかった。
知っていたって何のこと?
もしかして兄妹だったってこと?
でもこのことを知っているのは母さんたちと渓斗くらいだ。




「…もしかして渓斗から聞いた…とか?」




その言葉に翔太は黙っていた。首を縦に振ることも横に振ることもなくただアスファルトを見ていた。



そしてあのときのことを思い出す。
そういえば「宿泊費を貸して欲しい」と頼みに行ったとき、翔太の顔が強ばっていた。
きっと真実を聞いてしまったからだ。
だけど翔太は何も言わずに俺に宿泊費を貸してくれた。
何故何も言わなかったのだろう。



「話を聞いたらどうしても二人に行ってもらいたくて…黙っててごめんね…」




そう言って深々と頭を下げる翔太。




「顔上げろよ。何でお前が謝るんだ?お前は俺に協力してくれただろ?お前のおかげで俺はあの時幸せだったんだ。ありがとうな…黙っててくれて。翔太には感謝してる」




俺は翔太の肩に触れて笑顔を見せた。
きっと今の笑顔は最高に輝いていると思う。





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