夜空に咲く僕たちの願い


渓斗は滅多に笑ったりはしないけれどふとした瞬間に見せる笑顔が母親そっくりだった。


愛しい笑顔の持ち主は低血圧。これだけはちっとも直らない。



「渓斗のおばさん、俺をいつまでも子供扱いしないでよね。おばさんの背なんてもうずっと前から抜かしてるよ」




「そう?身長いくつになったの?」



星柄のハイカット靴を履きながら、俺はこう言った。




「去年は175センチ。渓斗起こしに行ってくるね。」




「いつもごめんね!何回も起こしたんだけどあの子起きなくて…」




「渓斗は俺が起こさないと絶対起きないから」




とんとんと靴を鳴らして、渓斗の眠る部屋に向かった。
もう気づいてますか?
俺の“仕事”はニワトリの役目なんです。



渓斗の家まではわずか数メートル。
ちらりと空を見ると今日の天気予報も当たったみたい。


快晴だった。



靴を脱ぎ、勝手に入っていく。暗黙の了解だ。
この役目になったのは中学生になってから。
それまで渓斗はちゃんと起きられてたのに、いきなりどうしたんだろ。




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