夜空に咲く僕たちの願い
あんまり深く考えないでおこう。
渓斗の部屋は廊下の突き当たり。
ドアにネームプレートが飾られてある。
ローマ字でKEITOと。
静かにドアを開けると、真っ暗だった。
カーテンから覗く僅かな光だけだった。
セミダブルのベッドの中には低血圧な天体少年が眠っている。
まずはカーテンを開けた。
「渓斗ー朝だぞー!」
一回言っただけでは起きないのは分かっている。
俺は露になった部屋をぐるりと見渡した。
本棚に整理整頓されている本はどれも天体ばかりだった。
天体観測のことから地球のこと。
そして天上には宇宙のポスター。
極め付きは星柄の絨毯。
一体これをどこで手に入れたのだろう。
俺もあの日から星が好きになってよく星柄を集めていたりするけど…
星柄のハイカットや、星のピアスとか…
でも渓斗に負けるな。
渓斗は本当に星が好きなんだ。
枕元からちらりと覗く、渓斗の柔らかそうな茶色の髪の毛。
思わず触りたくなる。