夜空に咲く僕たちの願い


この言葉を聞いたとき、世界が止まった気がした。
本当かどうかは分からないけれど、信じたいと思った。
それくらい魅力的な言葉だったんだ。



「おーい?俊介?」



「へっ!あっごめん!どっか行ってたみたい。」



小さく笑って頭を掻く。
まだ体が震えている。
まだ鼓動が早く鳴っている。

息をするたびに、その言葉は全身を駆け巡った。



そんな俺を見た渓斗は「クスッ」と笑い、先ほど読んでいた天体観測の本を俺に差し出した。



「俺、いい場所見つけたんだ。今日の夜、天体観測しに行かないか?天気も悪くないし、今日なら春の大三角が見られそうだから」




「いい場所?春の大三角?」




「いい場所は着いてからのお楽しみ。俺たちのマンションからそんな遠くないよ。春の大三角はアークトゥルスとデネボラ、スピカっていう星を結んだときに出来る三角形のこと」



差し出された天体観測の本をパラパラと見ていく。
字が細かすぎて頭が痛くなる。俺はすぐにその本を閉じた。




「で、観に行ってどうすんの?」




渓斗は白い歯を見せてこう言った。




「星に願い事をしよう」





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