夜空に咲く僕たちの願い


こんなの虚しいだけじゃないか。
いつまで経ってもこの気持ちは届かないのかな。
やっぱり執事のまま終わるのかな。

そんなもやもやした気持ちが渦になって俺の体を支配していく。



「ちょっと…俊介!!」



力強く瑠花の手を握り、渓斗の場所へ戻る。
その間さまざまな人と視線が合ったけれど気にしなかった。

もう誰も瑠花に話しかけるな。

強がりな俺と弱虫な俺が闘っていた。
さぁ…勝つのはどっちかな。

見えないゴールにただ必死になって走っていく。



瑠花はこの時なんて思っていたかな。
迷惑だって思っていた?
でもそんな迷惑な行為だって俺は好きだから嬉しく思ってしまう。


目の前には文庫本を片手に壁にもたれ掛かる渓斗がいた。
その周りだけ空気が違う。
輝いて見えた。


たぶん渓斗だからだ。




「痛いってば!!」



俺は勢いよく瑠花の手を離し睨み付けた。
俺が不機嫌なの分かるよね?


瑠花のせいだよ?




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