夜空に咲く僕たちの願い


長い髪の毛を上手くまとめる母さんの背中を見て俺は牛乳を飲んだ。
あと少し背が高くなって欲しいから。


飲み干したグラスを流しに置こうとすると母さんがあることを聞いてきた。
そのせいで俺の動きは阻止されたのだ。



「俊介?瑠花ちゃんと何もなってないわよね?」



「え…?」




「付き合ったりとかしてないわよね?」




静かな空間に母さんの声が浸透していく。
それが冷たい空気と交ざりあい、恐怖へと変えた。
いきなり何を言い出すのかと思えば…またそのことか。

なぜ母さんはそんなことを聞くのだろうか。



「瑠花とは喧嘩中だし…付き合うなんてありえないよ」




俺は一言投げ捨ててグラスを流しに置き自分の部屋に逃げ込んだ。
薄暗い部屋に閉まるドアの音。


俺はその場に足を抱え、しゃがみこんだ。




8畳の部屋に惨めな人間一人。


それは紛れもなく俺だった。




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