夜空に咲く僕たちの願い


素直になれたら。
もっと心は軽くなるのに。
母さんの言葉がぐるぐると駆け巡る。


俺は本棚に並べてあった昔のアルバムを手にとった。
それはまだ幼稚園の頃のものだった。
俺たちの通う幼稚園は人数が少なく、上級生と下級生とも仲が良く、いつもみんなと遊んでいた。

外では鬼ごっこ、中ではお遊戯。
俺と瑠花と渓斗はいつもいっしょだった。
トイレに行くにも遊ぶのも悪戯するのも。
三人だったから怖いものは無かったのだ。


俺はぱらぱらとページを捲っていく。



「これ…」




ある写真のページで手が止まる。
その写真とは楽しそうにカメラ目線で笑う俺と渓斗と瑠花、そしてある一人の男の子がいた。



「誰だっけ…」




過去を振り返っても写真の中で俺たちと一緒に笑う男の子を思い出せなかった。
名前さえも、遊ぶ記憶さえも。






俺は何も分かっていなかった。瑠花を好きなのは…俺だけじゃないってことを…。





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