夜空に咲く僕たちの願い


「…夢?」



だよな。
目の前には真っ白な天井が広がっているし。
にしても嫌な夢だった。
こんなに苦しい夢なんて初めて見た。
だけど考えさせられる夢だった。


瑠花と喧嘩中だからこの夢を見たのかな。
何か嫌なことが起きるという前触れ?


俺は体を起こし、携帯を見る。瑠花からの謝りメールはなし。

舌打ちをしてベッドから飛び降りる。

瑠花が気にしてないのなら別にいいよ、このままでも。
でも心のどこかで引っかかる。
俺の未熟さに。



顔を洗い制服に着替えた。
昨日「瑠花を迎えに行かない」と言ってしまったから朝の仕事は無い。
渓斗を起こしに行くだけだ。


携帯をカバンに入れて部屋をあとにする。
何か今日は朝御飯はいらない気分。
あの夢のせいだ。
気持ち悪くて胃が食べ物を拒否している。



俺は星柄のハイカットを履き、家を出た。



目線を足元から青空に移そうとしたとき、あるものが映った。


それは…真新しい焦げ茶色のローファーだった。





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