ストロベリーよりも甘い恋
「うぅ・・・。香水きついよぉ・・・。」
樹がそう言ったとき、俺はすごく悪い気持ちになった。
だから、まさか話しかけてくるとは思ってもなかった。
「ねぇ、仁田君は、こんな香水の匂い、嫌じゃないの?」
俺にしては珍しく、驚いてしまった。
だって、こいつ、普通に話しかけてくるんだぜ?
しかも、すんなりと。
声の調子も変えずに。
シャンプーのいい匂いを漂わせて。
化粧も何もしていない顔で。
「嫌に決まってる。」
口から出た言葉。
普段は、女子とは絶対に喋らない。
絶対に。
だから、俺と話せる女子は絶対に喜ぶハズだった・・・。
けど・・・。
「よく耐えられるね。私、もう死にそうなぐらい頭がグラグラしてるよ。」
さっきと同じように喋る。
変わったといえば・・・。
顔が歪んだ事だけ。
だから、俺は、少し煽ってやろうと、また喋った。
「悪かったな。」
けど・・・・。
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