姫様にkiss
「…貴方、ちょっと注文をよろしいかしら?」
さっきの人だ。
もう…
“他の方、呼んでくださる?”
あんなこと言わせない。
「はい。ご注文は?」
「そうね。…貴方のおすすめは何かしら?」
「私のおすすめは……こちらの抹茶ケーキになります!」
「フフッ。わかったわ。では、貴方おすすめのそちらを頼めるかしら?」
「はいっ!かしこまりました!」
失敗しちゃいけないとか
親の前だからとか
そんな変なこと意識しなくていい。
私は
私なりにこの聖学祭を楽しむのみだ!!!
「貴方。…とても良い笑顔になりましたね。」
「あ、ありがとうございます…!!」
さっきは気付かなかったけど…
この方も
他のお客様も
皆、とても素敵に笑ってる…
「さっきはごめんなさいね。ちょっと私も余裕がなかったの。」
「いえ…!私こそぼーっとしていて…」
「じゃあ、おあいこ。…ということで許してもらえるかしら?」
「はい。もちろんです!」
この学校に入って初めてだ。
こんなに行事が楽しかったのは。
こんなにも楽しいものだったのだな。
……本当にあたしは馬鹿だ。