姫様にkiss
* * *
「…ただいま。」
って言っても、いるわけないか…
お父さんの仕事を手伝ってるらしいし…
まだ帰ってこれないよね。
「姫様、おかえりなさいませ。奥様とご主人様は…」
「わかってる。仕事でしょ?」
ブレザーのリボンを解きながら、そう訪ねる。
すると、メイドさんが珍しく首を横に振った。
「いえ。その事ではなく、ご伝言を預かっております。」
「伝言?」
「はい。こちらでございます。」
手紙…?
電話してくれればいいのに。
二人共、時間ないんだから…
そう思いながらも、クスッと思わず笑みが零れた。
“拝啓 愛しの娘へ”
そう始まる手紙は所々筆跡が変わり、二枚にも及んでいた。