姫様にkiss
人は寝ている時は誰でも、幼い頃の顔に戻るというが、こいつも寝顔は案外可愛………戻ってない…。
何故だ…
どう見てもいつもの朔真の顔にしか見えない…
「はぁ…」
やっぱり言えなかった…
どうしてもあいつの前だと普段通りのあたしでいられない。
お礼の一つぐらい言えなくてどうする!
って感じだけど…
やっぱりなかなか言えないんだよね…
今日もそうだけど…
朔真って何考えてるか分かんないくせに
肝心な時にはちゃんと助けてくれて
あたしの心なんて全部読み取っちゃって
たまにムカつくんだけど
根は良い奴だってわかってるから、本気で怒れなくて
余裕な笑みで手を差し伸べたりしてくるんだけど、あたしは負けず嫌いだから、そういうの素直に受け取れなくて
……だからこそこんな扱いにくい馬鹿変態執事のこと、好きになっちゃったのかな?
チュッ──
「…ありがと。朔真。」