姫様にkiss
「でも、初めてだよね。姫と出かけるなんて。」
そっか…
思い出せば朔真とは一回も出かけたりしなかったからな。
「俺、めちゃくちゃ嬉しい。」
無邪気にそう言って笑う朔真の初めて見る表情に、今までにないほど紅潮した。
自分でも分かるほどに。
「…そういえば。」
「ん?」
「姫はどんな水着?」
「ッ…この変態…!!」
「光栄です。」
ったく…
調子狂うな…
いつもはスーツなのに、今日はパーカーにジーパンっていう、ラフな格好。
そのせいもあってか、見慣れない姿に胸が高鳴る。
「ねぇねぇ!着替えたら早速、海行こーよ!」
「そうだね。じゃあ、俺は朔真君とあっちで着替えてくるから。…ここで待ち合わせでいい?」
「りょーかい。」
美咲は佳斗君に話しかけられたのがよっぽど嬉しかったのか、照れくさそうに頷いた。
「姫、行こ。」
「うん。」
美咲が服の袖を掴んで引っ張るから、何度か転けそうになりながら、砂浜の端にある更衣室へと向かった。