姫様にkiss
「繋ぎ…たかった……から……」
小さく呟くとそのまま、朔真の腕の中に吸い込まれた。
優しく髪を撫でる手からは、もう、怒りは感じなかった。
「…姫はずるいな。」
「ごめん…」
「そこ、謝るとこじゃないでしょ。」
「…ごめん。」
「フッ。もういいから。だから…」
波の音で聞き取りにくかったけど
「…ずっと俺だけのものでいて。」
そう言ってくれたんだよね?
「うん。」
あたしは思いっきり返事をした。
朔真が少し驚いた顔をして、また笑った。
「姫〜戻って来て〜!」
美咲の声で気付いたけれど、辺りは少し暗くなり始めていた。
何しろ出発がお昼過ぎだからしょうがないか。
「はーい!」
美咲に見えるように、大きく手を振った。