姫様にkiss
プルルルル──♪
ん?
また電話?
携帯を開いて、画面を確認したけれど、いつもの待ち受け画面のままだった。
ってことは…
「朔真のじゃない?」
「…はぁ……もしもし?」
電話の相手が誰なのかは分からない。
ただ朔真が顔を歪めて、面倒そうに話している。
女…?
悪い考えが脳裏をよぎった。
そんなあたしをみてなのか、安心させるように朔真は腕の力を強めた。
それだけで単純に嬉しかった。
…例え、言っていることが乙女には聞かせてはいけないような、内容だったとしても。
「ですから、こちらも夜は色々とやることがあるんです。」
ないない。
あたしは言ってないし。
「そちらも思ったままに行動されてみたらいかがですか?」
朔真が思ったままに行動したら、大変なことになるよ?
あたしの意見なんか無視だし。
……って流暢にツッコミ入れてる場合じゃなくて!