姫様にkiss



…それこそ悔しいから。



甘やかされたお嬢様でいたくないから。



朔真の前では、可愛らしくいたいから。





「さ…朔真…っ」
「ん?」
「あ…ありがとう…!」
「何を今さら。」



何よこれって…



嫌な顔しちゃったけど。



本当はすごく嬉しかった。



夢かな、って思ったぐらい。



今日という日を朔真と迎えられたこと。



…忘れてなんかなかった。



朔真がどんな顔して、これを選んでくれたんだろう…



そう思うだけで幸せになれる。






「いつも…ありがとう…っ!」
「だから何の風の吹き回し?」



朔真は無愛想に呟いて、外方を向いた。



でもね?



見えたんだ。


…頬を真っ赤に染めて、恥ずかしそうにはにかんだ顔が。



「大事にするから。」
「それはどうも。」



…誕生日プレゼント、という名の


遠回しな朔真の愛の告白。






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