姫様にkiss
* * *
「ねぇ、泳ごうよ!今日は暖かいみたいだし。」
「あ…あたしは良いや……」
「えー…じゃあ私も止めよっかな。」
「あたしのことは気にしなくていいから、泳いできなよ。せっかく佳斗君と海来たんだから。」
「そ、そう?じゃあ…行ってくるね。」
美咲はそう遠慮がちに言うと、佳斗君と一緒に海へと駆けて行った。
ふぅ…
一先ず安心だ。
なんて言ったってあたしは……
「姫って泳げないんだ。」
「お、泳げるから…っ」
「顔と声が引きつってるけど。」
う"…
確かに人より少しだけ
ほんのちょっとだけ泳ぐのが苦手だけど…
しょうがないじゃない。
人には誰だって、向き不向きがあるわけだし。
「姫って泳げないんだ。」
朔真はもう一度、わざとらしく言った。
それが悔しくて、俯く。
「でもさ、何で海なんか来たわけ?」
「それは…」