姫様にkiss
「美咲が助けてくれたんだ。」
「どうやって?」
「お巡りさーんって。いもしないのに、呼んで来たふりをしたの。」
不良はその声で直ぐに逃げて行った。
その呼んで来たふりをした女の子が美咲だった。
可愛らしいのに、勇気のある子だなぁ〜って、それが第一印象。
「ありがとう。頭良いんだね。」
「私、悪知恵だけは働くの。」
そう言ってお互いに笑ったのを覚えている。
それから、あたしは高等部に上がって、美咲がこの聖西ヶ崎学園に入学してきた。
改めて会って、お互いにまた笑った。
「姫と美咲ちゃんにそんな過去があったとはね。」
「驚いた?」
「姫が助けてもらったってところは。」
今は全く正反対なのに。そう言って笑う朔真の額を指で叩いた。
「そういえば、あたしも驚いたんだよ?…朔真と初めて会った時。」
「そう?」
「だって、いきなり後ろから出て来たんだもん。」
初めて会った時。
綺麗な顔だな〜って、見惚れちゃったんだっけ。
「あー…悪い、それ違う。」
「違う………
違う…っ?!」