姫様にkiss
* * *
高台で男達から逃げていたはずなのに…
それなのに、いきなり海の中へと突き落とされて、息が出来なくなった。
どんどんどんどん沈んでいって…
そんな時に遠くから幻聴のように、いもしないはずの朔真の声が聞こえた。
必死にあたしの名を呼ぶ朔真。
そこであたしの記憶は途絶えた。
「め…姫…っ?!」
「朔…真……」
目を開けると、心配そうにあたしの顔を覗き込む朔真と美咲、佳斗君の姿が見えた。
あぁ…そうか。
あたし……海に落ちたんだ。
「…ごめ…ツっ……」
「落ちた時に水に強く体を打ちつけたらしいから、まだ安静にしてろ。」
確かに、起きようとすると、体のあちこちが酷く痛んだ。
朔真は皆の前だというのに、表の顔を忘れて、強い口調で言った。
「本当…ごめん……」
「もういいから。…寝てろ。」
「…ん。」