姫様にkiss



次に目が覚めた時。



近くには美咲しかいなかった。



「…あ、起きた?」
「うん。」
「もう大丈夫そう?お医者さんは平気だろうって言ってたんだけど…」



美咲が心配そうに尋ねる。



あたしは安心させるように笑った。



「大丈夫だ。それよりその…」



“朔真は?”


その一言が聞けずに、言葉を濁す。



すると、美咲は何もかも読み取ったかのように、ニコッと微笑んだ。



「朔真さんは佳斗君と一緒に、姫を襲った男達を懲らしめに行ってるよ。」
「そっか…」



それならいいんだ。



何処かに行ってしまったのかと思った。



「驚いたよ。姫が泳げないなんて。」
「な、なんでそれを…」
「朔真さんがね。そりゃもう必死に言ってたから。“あいつは…優姫は泳げないんだ…っ!!!”って。」



朔真が…



いつもあんなに冷静な朔真が……?







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