姫様にkiss
夏祭り当日──
「ならば、お言葉に甘えさせてもらう。」
「ん。行ってらっしゃい。」
あたしはそう言って、無理矢理笑った。
あの日以来、変わったのは、光が積極的に話してくること
そして、あたしがあからさまに光を避け続けていること
今日こそは言うと決めた。
光の気持ちには応えられないと。
今までは色々、誑かされていたけど…
今日こそははっきり言う。
「お、優姫。」
「ひ…光……」
落ち着け落ち着け…
あの日のことなんて考えるな…
「可愛いじゃん。」
「そ、そうか?この浴衣、朔真が選んでくれ…」
「そうじゃなくて。…優姫が可愛いって言ってんの。」
行くぞ。と言って繋がれた手は、あたしの知っているはずの手より、ずっと大きくて、男らしかった。