姫様にkiss
浴衣で歩きにくいあたしを考えてなのか、ゆっくりと歩幅を合わせてくれる。
「優姫。…今日だけは俺の前で、あいつの名前出さないでくれ。」
「それは…」
「頼む。…俺、悲しいけど、ずっとこうやって手繋ぐのが夢だった。でもさ、優姫はいつも俺のこと毛嫌いしてるし、幼なじみとか…とにかく色んなことが重なって言えなかった。でも、やっとこうして夢が叶ったんだ。だから……頼む!」
必死に頭を下げる光。
その顔はいつものあたしが知っている光の顔じゃなかった。
あたしは静かに頷いた。
それを見た光は顔を輝かせて笑った。
「よし!何か食おうぜ!」
「あぁ。」
そう返事をしたものの、頭では別のことを考えていた。
もし、告白の返事をしたら…
今日のように仲良くは出来ないんだよな…
おまけに光まで傷つけてしまう。
この返事を…
あたしはするべきなのだろうか?