姫様にkiss
「部長がどうやら、舘華の冴垣部長と犬猿の仲らしく…“売られた喧嘩は買ってやる!”と…」
馬鹿だ。
正真正銘の馬鹿だ。
そんな負け試合、受けたって得することなんかないのに
何で受けるかな…
「お前は行かなくて良いのか?」
「僕は補欠ですから。それに…部長に邪魔だと言われました。」
…苦笑
幸太郎君らしいというか何というか…
「だから先輩、お願いします!舘華の部長と戦って来てください…っ!」
「無理。」
「えぇ…」
「えぇ…じゃない。話は聞いた。でも、あたしは今、それどころじゃないの。合気道の大会も二週間後に控えてるし、勉強だって、これ以上順位を落とすわけにはいかない。」
だから、そんなくだらない喧嘩に加わる気はない。
そうはっきり告げると、幸太郎君はガックリと肩を下ろして帰って行った。