姫様にkiss
「お願い…皆には黙ってて…」
朔真は微妙な顔をして俯いた。
その間にあたしの足には、綺麗に湿布と包帯が巻かれていく。
「…あとの試合数は?」
「5試合。」
「わかった。4試合は棄権しろ。」
「でも…!」
「皆を信じてやれ。」
皆を信じる…?
朔真のいつも以上に真剣な眼差しに、喉が詰まる。
「姫は最後の試合のみ。その他の試合は他の部員を信じるんだ。」
あたしが出れない分、誰かの試合数が増える。
でも誰も出なければ相手の不戦勝。
こんな疲れている中、試合を受けてくれる奴なんかいるのか…?