姫様にkiss
翌日の朝。
「おはようございます。姫様。」
「あ、あのさ…!」
「はい?」
聞けない。
聞けるわけない…っ!!
「き…今日は良い天気だな…!」
「?…そうですね。」
朔真の笑顔を見てしまうと、やっぱり聞くことが出来ない。
朔真の口から、事実を突き付けられるのだけは耐えられないから。
「姫様、何かあったのですか?」
「朔、真……昨日は何していたんだ…?」
「それ、は……」
朔真が言葉を詰まらせる。
やっぱりあたしに言えないようなこと…?
あたしに言えないような人と会ってたの…?
何も言わない朔真に苛々が募る。
これ以上朔真の俯いた顔も、何かを隠しているような目も見ていられなくて、無理に笑いかけた。
「あー…そろそろ行くね…っ!」
「ひ、姫様…!」
「何?」
「…いえ、何でもありません。」
そのまま朔真は部屋に戻って行ってしまった。