姫様にkiss
「やっぱり、オムライスが食べたいな。」
「いいけど…話ってそれ?」
「あー…なんか忘れたから、また今度でいいや。」
「クスッ。なんだそれ。」
あたしの心を悟られないよう…
今のあたしの心はきっと、真っ黒だから。
不安や悩みで覆われて、光なんか届かないくらい
真っ黒だから。
こんなあたしが、朔真を追い詰める資格はない。
「美味しく作れよ?オムライス。」
「当然。」
いつまでこうして笑っていられるのか、なんて
この関係がどれほど脆く、崩れやすいものだったのか、なんて
そんなこと考える余裕なんか、この時のあたしは持ち合わせていなくて
今になって気付いた。
“あたしは朔真について何も知らない…”
それがどれほど辛く、悲しいことなのか。
この時のあたしは何も分かっていなかったんだ…
これから何が起こるのか。
でもきっと
朔真は気付いていたんだね?
あたしと貴方の関係がどれだけ脆く、儚いということを。