姫様にkiss
* * *
朝の目覚ましの音。
久しぶりに聞いた目覚ましの音。
「ん…ふぁ〜……」
目を開けると、朝の眩しい光が窓から入ってきた。
「姫様〜朝でございます。」
「今起きる〜…」
大きく欠伸をして、ベッドから起き上がる。
「姫様、おはようございます。」
「おはよ……あれ?朔真は?」
あたしが聞くと、メイドさんは困ったように顔を見合わせた。
皆、口籠もって答えてくれない。
「それがその…桧宮は…」
「朔真君なら辞めたわ。」
「えっ…」
「今朝早くに辞めるって手紙が置いてあったの。」
「何言ってるのお母さん…冗談にしても笑えないよ?」
そう笑ってみたけれど、お母さんやメイドさんの真剣な表情に、事実だと納得するしかなかった。