姫様にkiss



「ん…」
「優姫、起きた?大丈夫?」
「お母…さん…」



心配そうなお母さんの顔が覗く。



その頬には、くっきりと涙の跡が残っていた。



「ごめんね。もう大丈夫だから…」



あたしがお母さんを支えなきゃ



それなのに今きっと、お母さんが泣いているのはあたしのせいだ。



あたしが頭を下げて謝ると、お母さんは涙を拭きながら笑った。



「優姫……朔真君のこと、好きだったのね?」
「そ、そんなこと…」
「いいのよ。素直になって。」



そう言うお母さんに、あたしはこくりと頷いた。



「優姫、変わったものね。」
「え?」
「何て言っていいのか分からないの。でも……そうね。生き生きしてる。」
「生き生きしてるって…あたしがおばあさんみたいな言い方しないでよ。」
「違う。違うのよ。」



お母さんは噛み締めるようにそう言った。









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