姫様にkiss



「前の優姫は感情の起伏が少なかったのよ。」
「そうかな?」
「そうよ?優姫は知らないでしょうけど、私達はそれでずいぶん悩んだものよ?」



知らなかった。



でもそういえば、朔真が来る前のあたしは、何にも無関心に過ごしてた。



それなりにあたしにだって、そうする理由があったのだけれど



周りの人には、心配で仕方がなかったらしい。



「でも、朔真君が来て変わったわ。毎日、笑ったり、泣いたり、怒ったり、呆れたり……前の優姫なら考えられなかった。」



朔真が来て、あたしの透明だった世界に色がついた。



赤、黄色、ピンク、水色



灰色、黒



朔真のおかげで、あたしの無色透明だった世界に色んな色や音や匂いがついた。








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