姫様にkiss
「あ、姫〜昨日は心配したんだよ?……って何かあった…?」
美咲が登校してきた。
あたしは急いで涙を拭うと、美咲に向かって笑いかけた。
「何でもないよ。ちょっと昨日見た映画を思い出しちゃって。」
「…姫」
「本当…何でも……ないから…」
また涙が溢れて頬を濡らす。
あたしの涙腺は昨日から壊れてしまったみたい。
美咲は泣き続けるあたしを見て、ただギュッと抱き締めた。
「泣きたい時は我慢しないで泣かなくちゃ。私の胸で良かったら、いつでも貸してあげるから。ね。」
美咲の優しさが胸に響いた。
「朔真が…っ……いなくなっちゃった…」
「え…?嘘…でしょ…?」
美咲は信じられないと言った様子で、あたしの顔を見た。