姫様にkiss
縁談の日。
あたしは一時間も前から、約束の場所だったレストランで待っていた。
席に座っているのはあたしだけ。
お母さんに我が儘を言って、相手と二人きりにしてもらえるようにした。
あたしの勝手な行動で、お母さん達を傷つけたくなかったから。
「ってか…」
さすがにお母さん、着物の帯の締めすぎだよ…
苦しいんだけど…っ
「ふぅ…」
あたしは目の前に出されたジュースを飲みながら、相手の来るのを待っていた。
もちろん、この縁談を受ける気はない。
今日は断りに来たのだ。
“姫は………それで幸せなの?”
美咲の言葉で目が醒めた。