姫様にkiss
「なん、で……そんなこと言うの…?」
「分からない?」
「分からないよ…」
朔真の考えてることなんて、分かんない。
いつも近くにいるような気がするのに
手を伸ばしても届かない。
そんな人の心…
分かるわけがない。
「姫が好きだからだよ。」
「え…?」
いつになく真剣な声色に心拍数が上がる。
「好きだから、他の男と仲良くしてたらイライラするし、俺がいなくても平気な顔してたら、寂しく思う。……それって普通のことだろ?」
あたしはコクリと頷く。
朔真はあたしの頭を撫でて、優しく微笑んだ。
「……フフッ。なんてね。本気にした?」
「い…意地悪……」
「何?聞こえないな。」
「だから…!意地…ん……ゃ…ぁ」
「ちゃんと聞かせてよ、姫の声。」
「ふぁ……あン…」
聞かせてという割には、唇を離してくれない。
次第に頭がぼーっとしてくる。
「………寂しかった。」
記憶の最後はそんな朔真の寂しげな声で終わった。