姫様にkiss
「ね?行こうよ?」
「ゃ…ですから……」
「すみません、お客様。その手をお離しいただけますか?」
「は?誰だてめえ。」
後ろから声がした。
男達は一瞬、声の方を向いたけれど、睨んでからまたすぐに視線がこちらに戻ってきた。
あたしは腕を捕まれているから、後ろに振り返ることが出来ない。
そんな男達の腕を後ろから誰かの腕が掴んだ。
「離せっつてんだろ。聞こえねぇのか?」
「いたっ…」
低い声が真上から聞こえる。
腕がひねられて男達は苦痛の表情を浮かべ、あたしは解放された。
そこでやっと声の主を見ることが出来た。
「……朔、真」
「俺の女に手出してんじゃねぇよ。」
「……すみませんでした…」
「は?聞こえねぇよ。」
「「ご…ごめんなさい……!!!」」
男達は一目散に逃げ出した。
それを見たあたしは、極度の緊張から解放された安心感で足から力が抜けて、へなへなと床に座りこんでしまった。