姫様にkiss
「……ん…」
部屋が暗い。
どうやら、あのまま寝てしまったらしい。
相変わらず頭はボーッとしたままだけど……
さっき怒っちゃったからな…
メイドさんに謝りに行こうと体を起こそうとした時だった。
「…どこ行くの?姫」
「ッ…!」
「なんでいきなり帰っちゃうわけ?そんなにびしょ濡れになって……そんなに俺を心配させたい?」
目が笑ってない。
あの時と同じ……
どこまでも深く
暗い瞳をしてる…
「…なんでそんなに泣くのかな……」
「えっ…」
朔真の指が頬をなぞる。
今気付いた。
朔真も濡れてる。
手が寒さで震えてて、髪から落ちた雫が涙と一緒に頬を伝った。