姫様にkiss
ひとしきり叫んだ後、虚しい気持ちを抑えるように、一人で校舎を出た。
「…姫様、ご友人をバカ呼ばわりされるのは良くないかと。」
「うるさいなぁ…大体、美咲が置い……へ?!だ、誰だお前?!」
「申し遅れました。私、今日より姫様に仕えさせていただきます、桧宮朔真[カイミヤ サクマ]と申します。どうぞ、よろしくお願いしますね。」
黒いストレートの髪。
スッと通った鼻筋。
凛々しい瞳。
まばゆいばかりの笑顔。
整った顔つきには、思わずため息がでてしまうほど。
白いタキシードは長身の彼の為に作られたのではないかというくらいピッタリ。
背景には何故かバラの花が咲き誇っているのが見える。
執事というよりは、王子という方が相応しいのではないかと思わせるような存在感。
あたしはしばらく、息をすることも忘れて見入っていた。