姫様にkiss
「…姫様。」
「ちょっ…朔真…?!んっ……!」
久しぶりに感じる朔真の唇。
強引で荒っぽいキス。
唇が離れて、お互いに目が合う。
朔真の瞳が真っ直ぐにあたしを見る。
「朔…真……?」
「……くなよ…」
「え?」
「…いえ、何でもありません。お気をつけていってらっしゃいませ。」
朔真はニッコリと微笑むと、深く一礼した。
「朔真……何を隠してるの……?」
「……。」
「…もういいよ。」
朔真が話したくないならば無理に聞きたくはない。
こういう時にだけ主人と執事という関係を押しつけたくないから。
それでもあたしはさっきほど嬉しくもなく、お父さんの下へと向かった。