姫様にkiss
「姫……一発殴ってくんねぇ?」
「は?」
「頼む。」
「…やだ。ちゃんと理由を聞かせて。」
そんなに苦しそうにしてる理由を
何で隠してるのかの理由を
ちゃんと教えてよ。
「俺……姫のことになると、全然余裕ねぇの。ずっと俺だけを見てほしくて……だから姫がお父さんにべったりだと…かなり嫉妬する。」
「え?」
「強がって昨日も本当はめちゃくちゃ悔しかったけど、平気なフリしてた。今だって、姫を俺だけのものにしたいって思ってる。」
朔真の視線が痛くて、思わず目を反らしてしまう。
「…もう一度聞いてもいい?俺のこと好きか。」
今度は違う。
今なら…
ちゃんと朔真に言える気がする。
「目、つぶって。」
朔真が静かに目をつぶる。
チュッ──
あたしは軽く
でも確実に
唇にキスをした。