姫様にkiss
「私のことは朔真と呼んで下さって構いません。姫様、どうぞこちらへ。」
自然と出された手に少し戸惑ったものの、軽く手を差し出す。
大きめな手があたしの手を包み込み、ゆっくりとエスコートされる。
校門の前には朝、乗った車が停まっていた。
「えっと…」
「どうぞ。お乗り下さい。」
いつもされていることと大して変わらないはずなのに、何故か胸がドクンと大きく鳴った。
「えっと……朔真さん…」
「そんな姫様にさん付けなど…私が叱られてしまいます。」
「でも…」
「姫様は私に意地悪なのですね。」
「い、いや、そういう訳じゃなくて……」
「でしたら、“朔真”と呼んで下さい。」
「さ…朔真っ…」
「何でしょうか?姫様。」