姫様にkiss
「…嫉妬、…してくれないんだ?」
顔を離して、言葉とは裏腹にニコッと爽やかスマイルを浮かべる。
それを見た周りの女の子達からキャーッと歓声が沸き上がった。
…しないわけないじゃん。馬鹿。
今すぐ朔真はあたしのものだって言い触らしたいぐらいなのに…
そんなこと言わないでよ。
「…何でもない。戻るね。」
朔真が後ろから何か叫んでいた気がしたけれど、構わずに走って教室へと戻った。
…これ以上あの場にいたら、どうにかなってしまいそうだったから。
教室の窓から門を覗くと、ちょうど朔真が車に乗り込む所だった。
黒い車に乗って走り去った朔真。
心のどこかで、落ち込んでいるあたしがいた。