姫様にkiss
「また姫、顔に面倒くさいって書いてあるよ。」
「当たり前。」
授業終了の鐘が鳴り、美咲があたしの席まで来た。
美咲はこういう行事が好きらしい。
「姫、他の行事も嫌いだよね。体育祭とか。」
「だって…」
“見に来てくれる人がいないって想像以上に寂しいことなんだよ?”
「……姫…?」
「何でもない。」
首をかしげて顔を覗きこむ美咲に、安心させるようにニコッと微笑む。
「さぁて、美咲。…帰らないの?」
「か、帰るよ…姫は?」
「あたしは………もう少し待っていなきゃならないから。……あの変態執事を。」
「ひ、姫…怖いよ……」
「あ、いけない。つい、昼のことを思い出すと苛立ちが抑えきれなくて…」
「ひ…姫……私お先に失礼するね……!」
美咲は瞬く間に帰って行った。
窓から、昼間に朔真が立っていた場所を見つめてため息を溢した。
ったくアイツは何してるんだろう……