姫様にkiss
来てくれるわけないのに…
来てもらっちゃいけないのに…
「あたしのせいだから……だから来て欲しいなんて望んじゃいけないのに…」
なんでこんなにも行事の度に、寂しい気持ちになるんだろう…
なんで毎回、お父さんやお母さんの姿を探してしまうんだろう…
あたしは何も望んではいけないのに………
「……姫は何も悪くない。」
「慰めなら…いらない。」
朔真がギュッとあたしを抱きしめる。
その温もりがやけに胸に染みて、涙腺が緩む。
「違う。慰めなんかじゃない。俺は知ってるよ。…姫が負けず嫌いで意地っ張りで…でも誰よりも優しくて寂しがりやだってこと。姫は少しだけ不器用なだけなんだ。」
“だから泣いていいよ。”
朔真のその言葉通りに、あたしは泣いた。
涙がとめどなく溢れてきて、頬を濡らした。